瀬尾の世の中浪漫紀行

瀬尾の恥ずかしい駄文をくすくす皆様が覗くBlog

『貞子VS伽倻子』という可能性が魅せた実力

こんにちは瀬尾です

今さらになって視聴した

貞子VS伽倻子

この映画には

日本ホラー映画界の新生児

となり得る可能性がありました。

その考察となり得なかった事実を書き記します。

その前に一言言わせて下さい

この映画、黙って見ろ!

・恐怖の演出

ホラー映画において大事な演出とは

這い寄る恐怖への期待感

唐突に現れる恐怖

だと思っています。

本作品の本家の片方である『リング』では

恐怖の対象となる貞子の登場は数えるほどしかなく

大半は松嶋菜々子が呪いを回避するために

東奔西走する構成になっています。

このシーンにこそ確約された恐怖への煽りが存分に含まれ、ラストへの期待感と恐怖を演出します。

仄暗い水の底から』では

広告ポスター、テレビコマーシャル、予告編

と公開前から余りにも有名なラストシーンにおいて

とてつもない唐突な恐怖の演出を施しています。

これは日本ホラー映画界の名作品なので

是非視聴することをお勧めします。

では、本作品ではどうなっているのか?

前半部分を見ていきましょう。

*『リング』では貞子の恐怖演出だけでなくラストシーンで松嶋菜々子演じる主人公の台詞により違った恐怖の描写もあります。こちらも見ていない方は見るべきです。流石はホラー映画の金字塔

・呪いとの邂逅・奔走編

前半部分では貞子サイド、伽倻子サイドの主人公達の

呪いとの出会いと回避への奔走が描かれています。

主に貞子サイドのストーリーをメインとして進行して行きます

これは立派なリングシリーズの続編では?

と思わせるほど丁寧にリングシリーズの手順を踏み進んで行くストーリー

前述した恐怖の演出はキチンとこなされています。

貞子の呪いは主人公(山本美月)ではなく主人公の友達に降りかかり

恐怖に錯乱する友達に困惑するという

視聴者が入り込みやすい展開。

そして呪いの期間が一週間から3日後と

カウカウファイナンス金利レベルまでリスクが巨大化しており

尺の都合を凄まじく理解した設定は

スムーズに這い寄る恐怖への煽りが盛り込まれています。

そして、伽倻子サイドとのバランスが絶妙。

・間延びしない二大タイトルのバランス

二つの大御所映画を引っさげて

尚且つ二時間くらいの尺に一つの映画として収めるのはとても難しい事ですが

貞子サイドと伽倻子サイドの主人公に対比を持たせる事で

間延びさせないようにしているのも

この映画の素晴らしい所です。

メインとしている貞子サイドでは主人公は能動的に呪いと出会ってしまい。

複雑な構成を細かに説明して行きますが

伽倻子サイドの主人公(玉城ティナ)は受動的に呪いと対峙することになり

簡潔な展開も全く違和感なく受け入れられます。

唐突な恐怖の演出は無いまでも

王道と言えるストーリー展開の本作品は

まさに日本ホラー映画の新生児

となろうとしていました。

後半が、やってくるまでは、、、

・やはりB級映画だった

貞子の呪いを解くために

霊媒師に回呪を依頼しに行く主人公達

しかし貞子の呪いは何人たりとも邪魔をすることが出来ず

主人公と友達以外の人々が貞子に呪い殺されてしまいます。

さながら『着信アリ』で吹石一恵さんが呪い殺されるシーンを彷彿とさせる場面。

絶望的な状況で助けにやってきた霊媒師の弟子は

光明をもたらすどころか視聴者を新たな絶望へと落として行きます。

急激な進路変更

ここで登場する霊媒師の最強の弟子(安藤政信)は

全身赤い服を纏った盲目で霊力を感じ取れる少女たまおを連れ

ボサボサの頭。謎の印。そして霊への高圧的な態度と

ライトノベルの主人公感を丸出しにして現れます。

『貞子、一度会ってみたかったんだ』

の台詞には二つの意味で鳥肌。ノイタミナでやってくれ

そして当初の目的であった

貞子と伽倻子の呪いをぶつけ対消滅させる

というB級映画路線へと舵を切ります。

・衝撃のラスト

呪いのビデオを呪いの家で見るという

新日が全日に喧嘩を売りに行くようなスタイルで対消滅を狙います。

見事二大恐怖は対面を果たすのですが

『リング』『呪怨』であれだけ恐怖のどん底へ陥れた二大出現シーンは

猪木VS長州の大将戦さながら

ある意味で手に汗握る戦いの火蓋が切って落とされました。

伽倻子サイドにはセコンドでトシオが付いていたのですが

登場一発目で貞子のビデオワールドに吸収されてしまいます。退場。

ここで両者のプロフィールを見て見よー!

貞子

武器 髪の毛によるオールレンジ攻撃

呪い 世の中に絶望した為に世の中全員殺す

チームカラー 白

※呪いの力は他の追随を許さ無い凶悪さ!霊力は伽倻子を遥かに凌ぐか!?

伽倻子

武器 瞬発力と怪力を生かした肉弾戦

呪い 浮気相手と夫に恨みを、家に入ってきた奴は容赦なく呪う

チームカラー 鮮血でデザインを入れた白

※呪いの効力は貞子に一歩及ば無い!肉弾戦では圧倒できるか?貞子の懐に入り込んでからが勝負か?相棒のトシオは秒殺ノックダウン!

と、公式ホームページにも書かれていましたが

呆気なく貞子が髪の毛で押し切る形で有効を取ります

しかし伽倻子も負けじと貞子のビデオを片手で粉砕。

対消滅は中々起きません。

最後の策にととっておいた

両者を井戸に閉じ込める作戦に出ます

『呪われているどちらかが身投げすれば二人とも追いかけて来るはず』

そして山本美月は死を選びます。

井戸に飛び込んだ

山本美月、貞子、伽倻子

のエネルギーによって呪いの波動が残る一行を襲います

安藤政信は身を盾にしてたまおと玉城ティナを守り上半身と下半身が別れちゃいます。

たまおに封印の蓋を閉めるように促された

玉城ティナ

見事封印に成功!

是非も無い事態が2人を襲います

たまお『呪いが混ざり合ってる、、、』

封印の蓋は吹き飛びなかから現れたのは

おどろおどろしい異形の者

二つの呪いは融合して新たなる怪物を生み出してしまいました。

B級映画といえばの『戦慄怪奇ファイル!コワすぎ!』を思い出すシーンです

このデウスエクスマキナ的な怪物は

残された2人に襲いかかります!!

といったところでエンドロール!!

エンドロール後は伽倻子の動きとあ'‘あ’‘あ’‘を取り入れた貞子の登場で映倫、、、

・結果

この映画はどうしようもなく

B級映画らしくB級映画たらしめB級映画として終わったのです。

そう考えると本作品は

二大ブランドの七光りにおごることなく

B級映画の実力をまざまざと見せつけた

素晴らしい作品

だったのです

さらに言い換えるならば『貞子VS伽倻子』 は王道ホラー映画の皮を被った

最高のB級エンターテイメント作品となったのです。

序盤のシリアスシーンはラストにやってくるどんでん返しの煽り

そう考えると前述したしたホラー映画の二大演出を見事に完遂出来ているではありませんか!

*VSと付く映画では基本的に先に名前を書いてある方が勝つというお決まりがあったので見事二大唐突な裏切を受けました。

ここまでネタバレをしてしまいましたが、もう一度いいます。

この映画、黙って見ろ!